余りもの王女は獣人の国で溺愛される

素敵なお話ができた王妃様主催のお茶会は、なんとか無事に乗り切れたと思う。


しかし、お茶会を終えて離宮へと戻った私を待っていたのはリヒャルト様だった。

まだまだお仕事も忙しいであろう時間帯に離宮で会うとは思っておらず、私は驚いてしまった。

そんな私の様子を見つつ、リヒャルト様は言った。


「マジェリカ、あなたがこの国について学び、私と共に支えたいと思ってくださるのは嬉しい」


にこやかに微笑みを浮かべるリヒャルト様は、もはやキラキラが過ぎる。


「でも、まずは私と共に王宮近くからこの国を見て回りましょう!国を知るには市井が一番ですよ」


そんなにこやかな笑顔と共に告げられた内容から、私のギャレリアのマナーや礼儀講座の合間に城下へのお忍び視察が決定していた。


そんな話をした数日後。
講義も終わってお茶休憩をしていた私の元に、裕福な商家の商人のような服装のリヒャルト様が現れる。

「さぁ、マジェリカも着替えて出掛けましょう!」


唐突に城下へのお出かけとなり、ニコラもリエナもにこやかなままに一気に着替えることになった。


 いつの間に用意されていたのか、ちょっと裕福なお家のお嬢さん的な可愛らしいけれど、いつもより動きやすそうなドレスに着替える。

 帽子に、小さめのカバンを持ち、いつもとは違いヒールの低い歩きやすい柔らかい靴を履くと準備が整った。

 待っていたリヒャルト様の前に行くと、私を見て微笑みを浮かべて手を差し出された。

「こういった服も似合いますね。いつもよりも可愛らしさが際立ちます」

 なんだか、お互い新たな一面を見た気がするけれどリヒャルト様のキラキラとした高貴さは商人のような服装でも隠せていないので、きっとすぐにリヒャルト様だと周囲は気づくだろうなと思いつつ、紋章も入っていないシンプルな見た目の馬車でお出かけするのだった。
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