余りもの王女は獣人の国で溺愛される
城下町である、王城のすぐそばは活気に満ちていて人通りも多い。
そして、小さな子ども達はもれなく、耳やしっぽが見えていてとても可愛らしい。
大人はほとんど人と変わらない姿なのだが、子どもたちはそれぞれの特徴のある耳やしっぽがあって、見ていて可愛らしく飽きない。
「子どもたちは、獣人族の特徴がまだ残っているのですね」
私の問いかけに、リヒャルト様が柔らかく頷いて教えてくれる。
「獣人族は子どもの間は耳や、しっぽや鱗があるのが特徴なんですよ。子どもが国外に出ることはまれなので、あまり周辺国でも知られていないでしょうね」
やはり子どもはそうそう国外に行くことはないから、この姿はギャレリア国内でしか見られないのだろう。
貴重な、子どもたちの姿にすっかり癒されてしまう。
猫の耳としっぽの男の子と、ウサギの長い耳の女の子や、クマの耳の男の子に犬の耳にしっぽの女の子。
どの子も、みんな元気ではつらつと楽しそうで見ていて和む。
その中で、見ていた小さな子が転んでしまった。
つい、立ち上がってしまいかけた私をリヒャルト様が手で制す。
「大丈夫。見ててごらん」
その言葉に私は立ち止まって様子をみていると、一緒に駆け回っていた少し大きな子たちがきちんと駆け寄って、その子が自分で立つのを見守っていた。
すると、周りの子たちの声掛けに答えて少し涙目ながらに一番小さな子は自分で立ち上がり、またみんなと一緒に遊び始めた。
「助けるだけじゃなくて、見守ることも大切なのですね」
つい手を出してしまいたくなるところを、ぐっとこらえて見守ることも大事なのだと感じた。
「見かけと違って、子どもたちは強い面もあるからね。ダメなときはもちろん手を差し伸べるけれど」
見極めが大事なんだなと、見ていて感じた。
「これは子どもだけじゃなくて、国民への施策でも同じなんだ」
リヒャルト様は、微笑みながらも教えてくれる。
私もこれからこの国で暮らすのだから、たくさん学ばなければと意気込みを新たにしたのだった。