余りもの王女は獣人の国で溺愛される
今日の試着は王妃様が付き添うのみだ。
花婿には当日まで、この姿は見せないのがお約束なのだという。
マテリカでは、花婿はお式の前の確認にも立ち会うことが多いので国の違いをここでも感じる。
兄が見たがったものの、ここはギャレリアなのでこちらに従い、しぶしぶ本日の試着会は不参加だ。
「リカは本当に可愛らしいから、リカのお兄様もルトも見たがって大変だったわ」
にこやかにほほ笑む王妃様に、私は苦笑を返す。
今日の試着会の前に、ギャレリアの視察にルトとお兄様は連れ立って出かけたからだ。
やや不服そうな兄と、同調しつつも仕方ないといった表情のルトは印象的だった。
そんな二人は、試着姿を無事に普段用の昼ドレスに着替えたころに戻ってきて、その後は王妃様に王女様も交えてのお茶会となり、和気あいあいと過ごしたのだった。
ドレスも仕上がり、確認を終えたあとは当日までは磨かれる日だそうで。
エステ、髪のお手入れ、お肌を整えるためと早寝を強制されてぐっすりと睡眠をとる。
自国にいたころは、寝る前の時間を刺しゅうなどの小物つくりに充てていて、それでバザーまでに量産したりと忙しく過ごしていた。
でも、ここではその必要がない。
ギャレリアはマテリカよりも豊かで、教育の水準も高く、飢える子ども達もいないのだ。
国が親のいない子どもの入れる寄宿学校で住居も教育も面倒を見ているのだ。
だから、路頭に迷う子はいないという。
素晴らしい学校の成り立ちを見た兄は、マテリカでも出来ないかを帰って検討すると言っていた。
マテリカもギャレリアを見習い発展していけたら……。
私が嫁いだことにも大きな意味ができるだろう。
ただ、なによりもルトは私を大切に愛おしんでくれることも知っている。
私は幸せになれる相手に出会えたと言えるだろう。