余りもの王女は獣人の国で溺愛される
妊娠期間に入った私は、週に一度は侍医のエイゲルスに診察を受けることになった。
今回は妊娠判明から二回目の診察。
またしてもルトの膝に座っての診察だが、エイゲルスも二コラもリエナも誰も突っ込まない。
もはや膝の上が定位置と化してきた気がするこの頃である……。
今日も光を当てた後に、エイゲルスはにこっと微笑むと順調ですよと教えてくれる。
「さて、本日はマジェリカ様の懐妊に際し今後のお話をしておきましょう。まず、つわりは落ち着かれましたか?」
エイゲルスの質問に私とルトは頷いて答える。
「えぇ、もう今週は気持ち悪さもなくて妊娠したのが本当かなと思うくらい元気よ」
そんな私の返事にルトも同意し、追加で答えてくれる。
「ご飯も食べれている。ただ眠気はまだ強いみたいだな。お昼寝が日課だよ」
私たちの返答に、にこにことしていたエイゲルスはこういった。
「さようでございますか。そうであれば、今回の王弟妃様の出産の形式を推定しますと、恐らくは卵生ではないかと思われます」
その言葉に私は首を傾げた。
卵生? つまり子どもは人型ではなく卵で生まれるということ?
「そうか、この子は卵生か。では俺が温めなければいけないね」
エイゲルスの説明にルトが納得して、そんな言葉が出てくる。
「マジェリカ様、竜人族同士でも子によって人型か卵生かは違うので、妊娠してみないとどちらで生まれるか分からないものなのです。此度はつわりの落ち着き具合から卵生と判断します」
エイゲルス曰く卵生は妊娠期間も短めで、つわりも短期間で済む。
そして卵で生まれた後に二か月は温めてから孵すのだという。
そして、卵生だとすると出産は一か月後と言われてびっくりする。
「そんなに早く生まれて大丈夫なのですか?」
人の妊娠期間は約十か月。
妊娠期間が二か月で、出てきてからも二か月で孵るなんて早いと思ってしまう。
しかしギャレリアでは、それは卵生では一般的で問題ないのだという。
竜人同士であれば竜体で交互に温めるのだが、今回は異種族婚。
私は温め役にはなれず、二か月ルトが温めてくれるという。