冴えない私の変身計画~浮気男に一泡吹かせてやろうじゃないの!!
告白からプロポーズ
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沙菜は蒼士に手を引かれ屋上へと向かっていた。屋上へと出るための扉に手をかけた蒼士がドアノブを回すとギーッと嫌な音をたてて扉が開いた。本日は天気が良く青い空が何処までも広がっていて、冬から春へと変わりつつある柔らかい風が吹いている。
屋上に出ると蒼士が沙菜に振り返った。
「俺は、お前が沙菜が好きだ。誰にも渡したくない」
そんな事を言われれば沙菜の体は再び真っ赤に染まり、体を巡る血がドクドクと血管内を駆け巡る。
沙菜は両手で苦しそうに胸元のブラウスを握り絞めながら蒼士を潤んだ瞳で見上げた。
「蒼士さん……」
潤んだ瞳でそう呟けば蒼士の理性はプツリと切れた。何も考えられず、沙菜を引き寄せると男性的な大きな口が沙菜の唇を覆った。それはかみつくように性急的で余裕の無いものだった。それでも沙菜は自分を求めてくれる人の背中に腕を回し、唇に答える。自分の意思を乗せるよう思いが届くようにと。
「んっ……っ……んん」
卑猥な湿った音が頭を支配する。
息を吸う暇も与えないようなキスに沙菜は膝から力が抜け蒼士に体を預ける形となってしまう。蒼士は沙菜の様子に気づき唇を離すと宝物のように優しく包み込んだ。
「すまない……」
頭を下げようとする蒼士の唇に沙菜は人差し指を当ててニコリと微笑んだ。
「蒼士さん謝らないで下さい。私も……蒼士さんのことが大好きですから」
沙菜がそう言うと蒼士が嬉しそうに微笑み前髪を無造作にかきあげた。するとそこには意思の強そうなキリッとした瞳とスッと伸びた鼻筋、男性的な大きな唇の整った顔がそこにはあった。男性特有のシャープな顎のラインに沙菜はそっと触れた。
「そっ……蒼士さん!!」
沙菜は急いで蒼士の前髪を元にもどしボサボサにした。
「そっ……蒼士さん、私以外にその顔見せちゃダメですよ」
???
沙菜の行動に首を傾げる蒼士だった。