【短編】優等生の僕とヤンキー彼女
「なぁ…?斉藤百合だろ?」
俺は直球で質問した。
百合の顔は明らかに強張っていた。
というよりは、戸惑いを隠せない顔だった。
…頼む…違うって言ってくれ…。
俺は心の中で何度もそう願った。
でも、その願いは惜しくも散ってしまった。
彼女は少し俯いて何かを考え、
重い口を開き、こう言った。
「あ?ちっちげぇーよ!」
彼女は明らかに動揺している。
「は?」
俺はちょっとキレた感じに言ってみた。
そしたら彼女はすぐに言った。
「誰かに…言うの?」って…。
俺は彼女の言動で更に確信した。
俺が恋をしていたのはコンビニの店員…
でも今、俺の目の前に居るのは派手な女。
っていうか…ヤンキーだな…。
それが同一人物なんて…ありえねぇ…。
「いや、言わねぇーけど?」
「…そう…よかったぁ。」
そう言った彼女の笑顔は、
コンビニの店員の笑顔そのものだった。
そりゃぁ、同一人物だから一緒だけど…。