【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚
胸のドキドキ~高鳴る鼓動とキス~
「美鈴、何の映画観たい?」
映画館に着いてすぐ、上映スケジュールを見ながら高木原さんは言った。
「えっと……。わたしは、これです」
わたしが指差したのは、人気アニメの新作アニメ映画だ。今回は新作で、主人公の次に人気があるサブキャラクターが主役の映画だ。
「これ、面白いヤツだね。前作俺も観たよ」
「そうなんですか?」
「うん。面白かったよね」
その高木原さんの問いかけに、わたしは「はい。面白いです」と答えた。
「じゃあこれを観ようか」
「はい。ありがとうございます、高木原さん」
「ねえ、美鈴?」
そう言った瞬間に、高木原さんはわたしを見て言った。
「もう高木原さんじゃなくて、名前で呼んでほしいな。 なんか名字で呼ばれると、結構距離を感じる」
「……え? あ、それは……すみません」
名前で呼ぶのが恥ずかしくて、ずっと高木原さんと名字で呼んでいた。だけどそれは、相手にとっては寂しいことだったんだと、ようやく分かった。
「いいよ。……でも、梓って呼んでくれると、俺はすごく嬉しいけどな?」