【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚
「……鈴? 美鈴?」
「へっ!?」
名前を急に呼ばれてドキッとしたわたしは、我に返ってから梓さんを見た。
「映画、終わったよ?」
「あ、す、すいません……!」
色々と考えすぎて、何も頭に入ってこなかった……。
「行こっか、美鈴」
「は、はいっ」
そう思って立ち上がったその時。わたしは足元に置いていたカバンに足を躓き、転びそうになってしまった。
「わっ……!」
「美鈴!」
運良く抱き抱えてくれた梓さんに助けられ、わたしはなんとか転ばずに済んだ。
「大丈夫?美鈴?」
「だ、大丈夫です。すみませんっ」
わたしったら、なんてことを……! もうさっきから訳が分からないよぉ……。わたしの感情がさっきからずっと揺れている。
「危なかっしいね、美鈴は」
「すみません……」
お恥ずかしい限りだよ、本当に……。
「でもそんな危なかっしい美鈴も、可愛いけどね?」
「えっ!? そ、そうですか……?」
可愛いと言われる度に嬉しい気持ちになるけど、その度に緊張してドキドキする。