【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚
梓さんにそう言われたわたしは、また胸が大きくときめいた。
「……ありがとうございます。梓さん」
「うん。俺もおなじクッションカバーにしたから、これで美鈴とお揃いだ」
そう言われて優しい微笑みを見せる梓さんに、わたしは胸がドキドキしてしまった。
「さ、そろそろ帰ろうか。美鈴」
「……はい」
このまま帰ってしまうのが、なんだか名残惜しい感じがした。
◇ ◇ ◇
「美鈴、またね。今日は楽しかったよ」
「わたしも、楽しかったです。……すごく」
こんなに久しぶりに楽しいと思えたのは、梓さんがいたからだ。お見合いから始まって、こうして交際している訳だけど……。わたしは少しずつ、梓さんのことを気になっているみたいだ。
「……あの、梓、さん」
「どうしたの?美鈴」
わたしがこんな気持ちになるのは久しぶりだけど……。今なら分かる。わたしは、梓さんという人間に惹かれている。梓さんの優しさに、惚れてしまっている。
「……いえ、なんでもないです」
梓さんに好きだと伝えるか迷って、結局言えなかった。