【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚
「ただいま」
「おかえり、美鈴」
家に帰ると、お母さんがちょうど夕飯の支度をしていた。
「美鈴、今日高木原さんの家にご挨拶だったんでしょ?」
「うん。行ってきたよ」
お母さんは包丁で野菜を切りながら「そう。どうだった?」と聞いてきた。
「緊張した、すごく。……だけど彼のご両親はとてもいい人たちだったよ。優しくて」
「良かった。 美鈴なら、あの家に嫁いでもうまくやっていけそうね?」
お母さんはそう言って優しく微笑んでいた。その表情から見えたのは、本当に安堵した表情だった。
「……どうだろう。だけど、梓さんとなら幸せな家庭を築いていけそうだなって思ってるよ」
「そう。なら良かったわ。安心した」
お母さんは元々、一般人だったから、結婚して子供が出来ても普通の家庭と何一つ変わらないことをしていた。 社長夫人とはいえ、わたしたちを普通の私立高校に通わせてくれた。高校の時は普通にバイトだってさせてくれたし。もちろん、お父さんは反対したけど……。
だけど自分たちがやりたいことをやらせてくれたのが、お母さんだった。