【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚



「あの人、元カノですよね……?」

 わたしは彼の言葉を遮ってそう言葉にした。

「……ああ」

「……流奈さん、あなたのことがまだ好きなんですね」

「違う。 それは……」

 それは……何? なんだって言うの?

「……言い訳なんて、聞きたくないです」

 なんでわたしは、そんなことを言ってしまったのだろうか……。言ってから後悔した。

「美鈴、信じてくれ。……俺には、美鈴、君だけだよ」

「だって、流奈さんは……」

 流奈さんは、今でも梓さんのことを好きなんだ。だからこうやって、復縁したいと望んでいるんだ……。

「流奈のことは関係ない!……俺が好きなのは、美鈴、君だけだ。美鈴のことだけ、見てるから」

 そう言って梓さんは、わたしを優しく、だけど力強く抱きしめた。

「……梓、さん」

「美鈴、辛い想いさせてごめん。……でも俺は、美鈴のことだけしか見てない。美鈴のことだけが好きだから」

 そう言われてわたしは、梓さんのその言葉を信じようと思った。

「……本当に? 本当にもう流奈さんとは、何もないですか?」

「ないよ」
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