fish
夕日から死角になった、廊下。
やっとそのひとの顔が見えて、
そのひとはわらってる。
「ほらっいくよ!」
「っえ!」
わたしと一緒に持っているゴミ袋を
ぐんって引っ張って走り出す。
でも、走るのはちゃんとゆっくりで
一歩一歩わたしと合わせてくれる。
わたしの方を見てるわけじゃないのに、
なんでだろう、すごいな。
〔アオイー!なにしてんだよ!〕
渡り廊下に入ると
急に大きな声を聞こえて。
ちらっとみれば、
素振りしてる野球部の男の子。
「ごーみーすーて!ジャンケン1人負け!w」
〔はっw だっせー!〕
「うるせぇよばあか!」
ゴミ袋越しに繋がっているその人は
ケラケラ笑いながらゴミ袋を持ちながら
左手をぶんぶん揺らしてる。
_____________なんだろ、
居心地、わるいなあ。
斜め前を走るその人の、
わたしより大きい背中と
すこしくるんとしてる、やわらかそうな茶髪。
ぼうっと見てたら
いつの間にかごみ捨て場に着いてた。