fish
「はい!貸してー」
私が持っていたゴミ袋を
私の手から奪うと
ごみ捨て場に勢いよく投げる彼。
…そんなんして、破けないかな、?
「おわりおわり!おつかれ!」
すっきりした顔をして手を叩いてそう言った。
まぁ、手伝ってくれたし。
「、、ありがとう、ございます」
一言それだけ言うと、
じいっとわたしの目を見つめる彼。
「…なん、です…か。」
「ん?なんか、、、目が」
あ、、色が違うから気になったのか。
すぐそれがわかって、
彼と目を合わせないように下を向く。
なんて言われるか、怖くて。
「。。すみません、用事を思い出しました、帰ります」
「え、!」
ちょっとまって!って声を無視して
廊下を走って、階段を駆け上がって、
教室に着けば思い切り扉を締めて。
扉にもたれながら座り込めば、
目の前がぼやけて、あつい。
「あんな、もの珍しいそうに見なくてもいいじゃん…」
わたしだってできることなら、韓国にいたかった。
日本なんていなくないよ
それか、日本人ならよかったのに
最近、芸能人でもハーフタレントさんや
クォーターの人もいるのに。
すごいですねって、何ヶ国語しゃべれるのって、
そう言われてるのに、
なんでわたしは、いつまで経ってもこうなの?
わたしのなにがいけないの?
周りの子たちより白い肌
周りの子たちより色素の薄い茶色の目
でも7年経って、日本語は、
日本語にだけは、慣れたはずなのに。
いじめられたって、なにされたって
勉強はちゃんとして
韓国で生まれ育ったわたしにとって
難しい日本語には、
ひらがなもカタカナも漢字も古文だって
ちゃんと勉強して、もう全部ちゃんとわかるのに。
「なんで、わたしだけちがうの?」
窓が開いている教室。
カーテンが風に揺れる。
外の部活動のひとたちの声が聞こえる。
赤い夕焼けに照らされる、だれもいないここで
わたしは、なにをしてるんだろう。