幼なじみだけどそうじゃない・・・!!
パンッと空砲が撃たれ、走者が一斉に駆け出す。

そして響き渡る外野の応援する声。

今日は体育祭本番。

アンカーを押し付けられる羽目になった俺は、出番まで体力を温存しようとテントに座って女子対抗リレーを眺めていた。

一華の出場する玉入れは次。

ちゃんと見られるように前の方に場所をとった。

ふとこの前朝駅で会ったことを思い出す。

まさか一華から話しかけてくるなんて思ってもみなかった。

何か心境の変化でもあったのか。

はたまた俺にも懐いてきたのか。

その真意は謎のままだが、とにかくニヤッと笑いながら俺の顔を覗き込んでくる一華が可愛すぎた。何だあれ。反則。

おまけに和哉の好きな人をピタリと当ててきた。

わざわざ話題に出してくるもんだから、もしかして一華は和哉が好きなのか?と一瞬脳裏を横切ったが、多分ない。

あの2人が絡んでいるところなんて見たことないし、一華は友達と好きな人が被ったら絶対身を引くタイプだし。

いくつか理由を並べないと安心できないぐらいには俺は追い詰められているのかもしれない。

だって全然一華は気づいてくれねーし。

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