幼なじみだけどそうじゃない・・・!!
だがここまで言われっぱなしだった松井がいきなり顔を上げた。

「じゃあ逆に聞くけど、何で真島とは平気なんだよ。真島は『一華』って呼ぶし糸瀬さんは『ちーくん』って呼ぶし。もしかして2人・・・付き合ってんの?」

聞かれたくなかった痛いところを突かれ、面を食らってしまった。

落ち着け。

ここは肯定も否定もしない方がいいだろう。

肯定したら嘘になるし、否定したらで余計にややこしくなる。


「さぁな」
「ならお前の好きな人がいるって噂は・・・・・」
「マジだよマジ」


半分投げやり気味でそう答えると、松井は酷く傷ついたような顔を浮かべた。


「だったら敵いようがねーじゃん」
「っは?」
「もういい。帰るわ」


声が小さくて最後のセリフ以外上手く聞き取れなかった。

そのせいで今までの緊張感が緩んだが、引き締め直す前に松井は自身のスクールバックを手に取り教室から出ていってしまった。

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