幼なじみだけどそうじゃない・・・!!
それだけで心が暖かくなった。

ちーくんが背中を押してくれているような気がした。

何を頑張るのかよく分かっていないのにそれを聞くんじゃなくて、すぐにそう言ってくれた。

そういうところがすごく好きだと思う。

そして思い立ったが吉日。

観客席からすくっと立ち上がって2人を見下ろす。


「飛奈ちゃん、ゆめちゃん、ごめん。ちょっと行くとこがある」
「おー」
「分かった!行ってらっしゃーい!」


飛奈ちゃんは親指を立てながら、ゆめちゃんはさっきのことで飛奈ちゃんに詰め寄りながら快く送り出してくれた。

私に何が出来るかと考えた時に思い浮かんだのが、この噂を流した松井くんと話をしないと、ということだ。

きっと松井くんはあの日傷ついた。

傷つけてしまった。

やり方は強引だったとはいえ、私に好意を向けてくれていた。

それなのに向き合いもせず、ただただちーくんに縋ってしまった。

当てつけみたいに噂を流したって仕方がない。

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