私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
しかし、そんな翼には見向きもせず、聖威は何も言わずに箱の中をゴソゴソと漁っている。
「わー!私のおやつ!チョコレートだ!わー!わー!月影わかってるぅー!」
「ちょこれえと?」
「舞空にも分けてやるー!このおやつ、うんめぇぞー!」
「っつーか、何でこんなにホワイトソースの素が大量に入ってんの……総統は俺にビールの代わりにホワイトソースを飲めと!」
「あ、それはかくかくしかじかなんだ」
そのちょこれえとが入った大きい箱を抱えた聖威に手を引かれて、食卓につく。
そのチョコレートとやらを勧められた。
しかし、その見た目は、本当に見たことのないものだった。
コーヒー同様、ドス黒い。……うーん、多少茶色い。親指ほどの大きさで、コロコロと丸状だ。
「……これ、焼き菓子?」
「チョコ菓子!」
「……」
説明になっていない。
だが、訝しげな視線をチョコレートに送る私をさておき、聖威はそのチョコレートを口の中に放り込んでいた。
咀嚼していてコリコリと音がする。硬いの?
「うまぁー!舞空も早よ食べや」
「……」
勧められてしまっては断れない空気になっているような気がする。
それに、聖威は美味しいと言っている。