私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「騎士団主催だから、その要職の韋駄天様が出ないわけにはいかない。令息らに激励の言葉でもお掛けになるだろう」
……そうだ。この剣術大会の際は、韋駄天城も何かと忙しなくなる。
韋駄天様がこの日に着る礼服を新調するために仕立て屋が出入りしたり、参加者に一族縁の者がいたら、激励の一筆を書いて送ったり、贈り物をしたり。
忙しかったなぁ……と、かつての頃を思い出す。
「俺もその日は会場に赴く。友人の妹が参加するんだ。……そこで、何とか韋駄天様と接触してみようと思う」
そこで、聖威が「ちょっと」と手を挙げる。
「何だ」
「……そのちびっこ大会?一般の観覧って可能なの?」
「は……」
竜樹様は何かを言いかけて、目を見開いている。
剣術大会は、善見城内の騎士団管轄闘技場で行われる。もちろん、一般観覧も可能なので、未来の小さな戦士たちを見に、須弥山下の八部衆管轄の王領からもたくさん人が集まる。大賑わい。お祭りだ。
それを聞いて、聖威はニヤリと笑みを浮かべている。……あ、これ。何か悪巧みをしている時の顔だ。