私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
……と、この世界の事情をよく知らない異世界の戦士である彼らに、ざっと説明をしてみたが。
聖威は、何も言わずに何かを考えているようだ。
異世界の人たちには、この世界の構造は難しかっただろうか?
「……ま、差し詰め、天帝→王家、四天王将軍→公爵、天部衆→侯爵、天竜八部衆→伯爵、下級神族→子爵、男爵みたいなもん?」
「え?」
「あ、辺境護ってる王領もあるんだっけ??辺境伯もいるじゃーん!」
「おいおい聖威さん、そこでもラノベの世界かよー!」
「好きなものに例えると、理解も早いだろ」
「……」
取り敢えず、理解したのならいいか。
(そういや……)
「天王サマとやらは皇太子ポジだぞ?ひひひ」という翼の引き笑いを耳にしながら、私の頭にはふと疑問が過ぎる。
先程の漆黒の馬車団体を思い出す。
……何故、夜叉王様らの一行が、この剣術大会に?
確か、夜叉王様の御令息は、二人のはず。
長子の夜迦様は私や朝霧様、天王様と同じ歳で、次子の羅刹様が、竜樹様と同じ歳。その三年前の大会で、御二方が決勝で手合わせをしていた。
御令息ら二人はすでに出場済みなのに、何故こんな大掛かりな一行を組んで来場されたのか。
……しかし、その理由が今回の騒動を引き起こすカギになるとは、この時は思わず。