私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

「チクビームだけじゃないっすぜ?このちびっこ大会のために稽古に付き合って、剣技も教えてましたぜー?うちの坊ん、筋良いんでなー?」

「おいおい、まさか余計なこと教えちゃいねぇだろな」

「わははは」




ほんの少しだけ高さのある試合場に、両選手が上がり、向かい合う。

審判の号令と共に、未来の戦士二人は「お願いします!」と頭を下げた。

互いに剣先を向けて、試合が始まる。

天子・豹牙様のお相手は、天部衆の大御所・婆藪仙(ばすせん)様のお孫様だ。



だが、勝負は一分足らずで終わる。

二、三度の打ち合いの後、あっという間に天子様が相手へと距離を詰めて、剣を少し引いて大きく振るう。

「あっ!」

勢いついた刃は、ガキーン!と大きく音を鳴らして、剣を弾く。力任せの大きな衝撃で相手は剣を手から離してしまう。

剣を落として慌てた時にはもう、天子様の剣先は相手の頸部すれすれで寸止めされていた。

それは、目にも止まらぬ一瞬の出来事。

神速だった。



「いっ、一本!」



勝負ありが審判が宣言し、試合はあっという間に終わる。

天子様の圧勝に終わった。


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