私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。


有名も何も、この噂が出た時は騒然としたものである。

『夜叉王様の御令嬢は、不義の子』ーーと。



現在の夜叉王様には、御令息が二人。……そして、末に御令嬢が一人。

名は、羅沙(らさ)姫。

だが、その羅沙姫は婚外子。



この天界の神族らは、神力の保持発展のために側妃や愛妾を自由に持つ権限が与えられている。

変な話、神力を子孫に繋ぐためには誰かの奥さんをも公式寵姫としてやむを得ず認められるというのだ。



……しかし、羅沙姫の母親の正体は明かされていない。

その側妃でも、公式寵姫でもないのだ。

つまり……その正体を明かされていけない存在。罪人、もしくは、そのような関係になってはいけない人物。

母親が正体不明の人物。

だから『不義の子』。




「へぇ。母親がどこぞの誰かわからないから不義の子?……まあ、一夫一妻の月輪界からしたら、側妃も寵姫も不義だけどな?」

「神力を後世に残すためよ。でも、今の天帝御夫妻は戦乱の中での大恋愛婚姻だから、その風潮が根付きつつあって、正室しか娶らない神族が多いわ?あの、伝統を重んじる老舗の竜族の王、竜樹様のお父上だって、正妃一筋だし」
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