私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
だが、大人顔負けの刃の押し合いにも勝負が付く。
「ああっ!」
観客席から一斉に声が上がった。
そのまま押し切ろうとした羅沙姫の大剣の刃がバキッと折れて、剣先が空に舞ったのである。
「いぃっ!」
膠着状態が消えた隙に、御令息は距離を取って体勢を整えようとするが、立て直す前に羅沙姫に追撃される。
折れた剣で御令息の剣を叩き落とした上、柄で御令息の脇腹に一撃を入れた。
「うがぁぁっ!」
喰らった脇腹を押さえて、崩れ落ちる御令息。痛みのあまり声も出ないようだが、涙目になって悶えていた。
「……いっ、一本っ……」
審判の手が恐る恐る上がる。
しかし、歓声のひとつもなく、シーンとなった会場は妙な雰囲気だった。
皆、呆気に取られているのだ。
小柄な姫の大人顔負けな勝利の結末に。
そんな中、勝利をもぎ取った羅沙姫は、ペコリと綺麗な礼をした後、自分の折れた大剣の刃を回収して、スタスタと試合場を降りる。
真っ先に向かったのは、兄である夜迦様のところだった。
「お兄様、剣が折れてしまいました」
「何でもかんでも力任せに押し切ろうとするからだ。剣はまた用意する」
「はい」