私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。


もちろん、観客に紛れた私達も呆気に取られていた。



「おいおいおいおい。なんつー勝ち方じゃ。大剣が折れるとか、まるで傭兵みてえな戦い方だな?10歳のお嬢ちゃんが」

「ガキの手合わせじゃねえだろ……実戦?」

「……」



さすがの翼と銀太さんも、観客同様、目を丸くしていた。

そんな中、聖威が眉間にシワを寄せているのに私は気付く。

聖威が凝視している方向は……先程の試合の勝利者、羅沙姫だ。

(聖威……?)

何だか気になって声を掛けようとしたが、羅沙姫らのやり取りが続いていて、そちらに目が行ってしまった。



「羅沙ぁぁぁっ!」

「おかあさま、勝ちました!」



両手を広げて愛娘を迎え入れる夜叉妃に駆け寄る姿は、本当に見た目通りの少女らしい仕草だった。

剣を構えて試合場に立っていた表情とは、まるで違う。

腕の中に飛び込んできた娘を、夜叉妃はぎゅうぎゅうと抱き締めていた。



「さあ、羅沙?ひとつ勝ったし、おうちへ帰りましょうね?」

「おかあさま、まだ試合ありますよ?羅沙はまだ帰りません」

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