私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
今回揃った面子の中で、頭がひとつもふたつも抜けた強さの二人がとうとう剣を交える。
期待度が高まっているからか、決勝の舞台となる試合場の周りには、たくさんの人が押し寄せていた。
来賓席にいた高位神族の方々も、何人か試合場へと降りてきている。
昨年の優勝者、沙那様が一番前を陣取ってワクワクしている様子が堪らなく可愛い。
竜樹様も、友人である夜迦様の隣で試合場の上にいる姫君を見つめて拳を握っていた。
私らも、見所の決勝戦を見届けようと、群衆に紛れて静かに見守る。
天子様に剣を教えたという、翼も。
「両者、前へ!」との審判の合図で、すでに場上にいた両者は足を進める。
面と向かい合って、互いに頭を下げていた。
そして、『始め!』との試合開始の号令がかかると同時に、二人はそれぞれの得物を掲げて構える。
さすがの豹牙様も、先程のように余裕綽々の表情は見せず、真剣な面持ちだ。眼力鋭い。
決勝戦、しかも相手は大穴の強敵だからか。
「そこの女子。悪いが、俺が優勝すっぞ。……大事なもんかかってるからなぁ」