私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
軍人目線の分析が、聖威と銀太さんの間で繰り広げられている中、翼は……二人の真剣勝負を黙って見守っている。
いつもはベラベラと喋るのに妙に静かで、しかも真顔だ。
……内心は、何を思っているやら。
翼なりにも、短い期間とはいえ、天子様に思い入れがあるのだろうか。
「……苦手とするパワー攻撃に、カウンターも通用しない」
「?」
「さあ、どうするんだっけ?……坊ちゃん?」
「……」
譫言のように呟いて、翼はニヤッと不敵に笑う。
何のことか、首を傾げるしかなかった。
そこで、試合が動く。
再び、ガン!と刃を交える衝撃音が一層大きく響き渡った。
二つの刃が重なり合い、ミシミシと音を立てて押し合っている。
これは、先の宮毘羅様の令息との勝負と同じ展開、刃の押し合い、力比べ?!
だが、先程の試合とは比べものにならないぐらいの迫力だ。
その気迫が、ここ観客席にまでジリジリと伝わってくる。
(なんか……熱い)
と、思うと同時に、細かい風があちこちと肌を掠めるような感覚がした。