私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

不思議に思って顔を上げると、「舞空」と呼ばれて聖威と目が合う。

「……私の後ろに隠れてろ」

「え?」



それは何故……と、口を開きかけた時。

群衆の中から「きゃっ!」とか「わっ!」などの小さな悲鳴があちこちから聞こえ始めた。

顔を伏せる者や、飛び上がる人。様々だ。次第にザワザワとし始めている。

……まさか、この細かい風と熱。周りの人も感じて?



試合場を見上げる。

刃の押し合いをしている天子様と姫の体からは、『風』が起こっている。

二人を包むように渦を巻いて、外に放射されていた。

この風は、真剣勝負中の二人から発されているようだ。



辺りの異変に戸惑っていると、聖威に手を引かれて強引に背後に押し込められる。

だが、途端に私の肌を掠め続けていた風の『圧』がふと消えた。

私に背を見せる聖威は、直立のまま無詠唱で狭範囲の結界を張っている。

「剣気、半端ないな」

「っつーか、ヤバくないか?一般平民いるんだろ?巻き込むなってえの……」

え?これ、二人の剣気とやらに巻き込まれているの?!

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