私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
そんな被害を周囲に撒き散らしているとは知らずか、試合場の二人は力押しで刃を突き合わせたままでいる。
顔をも突き合わせている二人。こんな風に煽られた状態でも涼しげな表情のままの姫に、天子様は眉を顰めて吠える。
「ちっ!馬鹿力このっ!……俺は負けるわけにはいかん!いかんのだぁぁっ!」
「……」
するとそこで、試合場からバチバチッと雷鳴のような音が聞こえ始めた。
音の出所は、天子様の握る剣からだ。電光が現れ、剣を一気に包み込んでいき、次第に体からも放電されている。
これは……神力だ!
「……観衆の者たちよ、退がれ!神力に巻き込まれるぞ!」
「やり過ぎだってば豹牙あぁぁっ!」
そう叫んで観客らの前に躍り出たのは、神力の出現にいち早く気付いた竜樹様と沙那様だ。
二人同時に私ら観客を背に庇い、間一髪で結界陣を出現させる。
本当に、間一髪。
天子様の神力の放電は、すでに最頂にまで達していたのだ。
「神剣咒……【雷同魔破剣】」
激しく唸る電光を纏った剣は、神力の勢いも乗せて、力押しでブンッ!と姫の大剣ごと振り切る。
神力を纏った斬撃……『神術剣』を、剣気を纏っているとはいえ、生身の力で防いでいられるわけがない。