私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「おぉぉい!やり過ぎだぞ、お坊っちゃあぁん!」
翼の坊ちゃんに対する雄叫びは、風圧の轟音にかき消された。
神力出現の風圧も乗じてか、ドォォン!という大きな爆発音と共に、砂塵が竜巻となって試合場に巻き起こる。
竜樹様と沙那様の結界に護られて、観客席は風圧に煽られる程度で済んだが。
砂塵が落ち着き、視界が開けたそこには。
試合場の上に、剣を持って立ち尽くす天子様のお姿のみだった。
羅沙姫は……天子様の放った神術剣をまともにくらったと思われる。
激しく吹き飛ばされたのか、試合場の場外どころか、この闘技場のちょうど来賓席の真下にあたる壁の手前で、剣を握ったまま仰向けに倒れていた。
恐らく、壁に激突している。それに、あの規模の神術剣だ。タダでは済まないはず。
……と、思いきや。
「ううぅぅ……」と、うめき声をあげながらも、体をゆっくり起こしていた。
……え、神術剣を生身でまともに受けて、意識あるどころか、体を起こせるの?!
てっきり、大怪我していると思いきや、動くことができるなんて。
ここにいる観衆の誰もが、安堵より仰天していると思う。