私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

なんて、強靭な肉体……まだ10歳の令嬢なのに!

「仰向けって、受け身?」

「いや、プラス剣気による身体強化だな」

って、呑気に考察してるんじゃないよ。



だが、体を起こしたのはいいが、立ち上がりが一歩遅く、三秒以内に立ち上がることが出来なかった。



「い、一本!……天子様の勝利!」



勝負が、ついてしまった。

ワッと沸く感嘆の歓声の中、あちらこちらから拍手が送られる。



「イェー!勝ったぁぁっ!俺TUEEE!……ふぅー。危なかったぁー」



試合場に一人残った天子様。拳を突き上げて勝利を喜ぶが、疲労の色は隠しきれず、苦笑いとなっている。

今の勝利宣言に観客は更に沸く。「天子様さすがー!」と声を上げる者も。



だが、あと一歩の差で敗者となった姫君というと。



「ず、ずるいっ……」



その場に座り込んだまま、試合場の天子様を顔を歪めて睨み付ける。

体をふるふると震わせているそんな表情は、涙を堪えているとも見えた。



「神術剣なんてずるいっ……私、神力使えないのにっ……」



今まで涼しげな顔で剣を握っていた姫君だったが、ここで初めて悔恨の表情を見せていたのだった。
< 166 / 461 >

この作品をシェア

pagetop