私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
15.不穏に動き出す
波乱のちびっこ剣術大会も、決勝戦を終えて御開きとなった。
未来の戦士の勇姿を見に来た観客たちは帰路につき、会場内は少しずつ人数が少なくなっていく。
だが、決勝戦の会場となった試合場の周りには、まだ人集りがあった。
今大会の優勝者である天子様が、敗者の羅沙姫の下へと足を運んでいたのだった。
「おい、おまえ。女のくせにめちゃんこ強いな?」
「……」
羅沙姫は警戒しているのか、母君の腕から離れようとせず、無言でじっと天子様を凝視する。
だが、そんな態度を取られてもお構いなく、天子様は羅沙姫へと気さくに手を差し出したのである。
「俺、強いヤツ好きだぞ。友達になろーぜ!」
「……」
握手を求めているその手を、羅沙姫はじっと見つめていた。
人見知りなんだろうか。
だが、なかなか手を重ねてくれないことに痺れを切らしたのか、天子様は羅沙姫の手を無理矢理取って、勝手に握手する。
「ちょ、ちょ……」
「イェー!俺たちこれでもうともだちー!おまえ、ウチでメシ食ってけよ!めちゃんこ美味い肉料理食わしたる!ハンバーグ知ってるか?なぁ?」
「し、しってる……」