私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
それに、天子様や八部衆の令息令嬢らが集まっているのに、そこを何の声掛けもせずに通り過ぎるわけがない。
気さくに挨拶のひとつでもするはず。……私の知っている韋駄天様は、そういう御方だ。
……私は、使える神術がひとつあっても、神術士ではない。だから、擬態術式の綻びとか、波動とかそんなものはわからない。
これは、同じ居城で生活していた、未来の義娘になる予定だった私だからわかること。
義父となる韋駄天様を誰よりも知っているから、わかることだ。
あの人は、韋駄天様じゃない……!
「……しょ、聖威っ」
私の確信を伝えるべく、聖威の注意を引く。
「ん?」と、視線をこっちにずらすのみの返事だった。ここから離れたところに見える韋駄天様を警戒したままだ。
それでも私は告げる。
「韋駄天様は……聖威の言う通り」
やっぱり、ニセモノだ。
だが、言葉の途中で聖威は頷く。まるでその事実を確信していたかのように。
その反応にも驚かされて、私は目を見開いた。
「わ、わかったの?!まさか、術の綻びが……あっ、聖威っ!」