私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
ようやく追い付いた、と思ったのも束の間。
今度は、唇に指をあてて静かにするよう言い渡されてから、ゆっくり手招きされる。
聖威の指示に口を閉じた私は、頷いてそろっと聖威の傍へと身を寄せて、一緒に身を隠すカタチとなった。
そして、聖威はそっと前を指差す。
……それが、「どうしたの急に」の返答であった。
そこには、ひとつの小さな白い小屋がある。
どうやらお手洗い所のようだが。
だが、問題は……そのお手洗い所の陰に隠れている人物だ。
韋駄天様だ……!
声をあげそうになったその口を自らの手で塞いだ。
標的がこんな近くにいる。
と、同時に、動き出したという事実を目の当たりにして、震えそうになった。
そこを堪えて、状況を把握するために、木の陰から韋駄天様の様子を観察する。
建物の陰に隠れて、何かを待っているよう。
そこで、聖威が小声でボソッと呟いた。
「……私が気付いたんだ。ヤツが気付かないはずがない」
「……え?」
何のこと……と、問い返そうとしたが、お手洗い所から気配を感じて口を噤む。
視界に映った光景を目にして、私は息を飲んだ。