私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
2.ザッツ必殺ヒーロー
「罪人移送の割には御者一人に監視兵一人?……お粗末だな?こりゃ」
「何だとっ……!」
「だから、私らみたいなのにいとも容易く襲撃されるんだよ」
ニヤリと口を歪め、不敵な笑みを浮かべたその表情と『襲撃』の一言で、監視兵への挑発には十分だった。
まんまと挑発に乗って逆上した監視兵は、丸腰の少女相手にも関わらず、手に持った剣を怒りを滲ませてブンッ!と振り下ろす。
ヒヤリとさせられたが、少女はその一太刀を後ろに飛んで軽々しく回避した。
「このっ……!」
次の一手を奮うため、監視兵が剣の柄を握り直した、その時だった。
「おーい、聖威(しょうい)ー!随分時間かかってんなー?……うんこでも漏らした?」
声の方へ顔を向けた途端、ギョッとした。
幌馬車の中を覗いているその顔が、まさか逆さまだとは思わない。
恐らく、幌の屋根に乗っかったまま、上から中を覗き込んでいるのだろう。
「で?漏らした?漏らした?」
「バーカ!誰がうんこ漏らすか!おまえじゃあるめいし!か弱い女子になんて疑惑をふっかけるんだ!」
「へぇー、なんだ。おもしくねぇーの」