私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

聖威がそう声を張り上げ、特級犯罪人・架威がハッと気付いた時には、既に事は始まっていた。

辺りは不自然なほどに、フッと静まる。微風もピタッと動きを止めた。

(ん?……ああっ!)

その瞬間、目の前に広がる光景に、私は腰を抜かしてしまった。



触手に拘束されている羅沙姫の身体からゴォッ!と音を立てて発するのは、煙と……炎だ。

しかも、私たちが普段見る、橙が灯る色の炎ではない。

血塗られたような、真っ赤に染め上げられた、深紅の……紅蓮の炎が羅沙姫の身体から噴き出している。

その炎はあちこちに飛び火して、辺りの樹々に火を付けていた。

羅沙姫を拘束する触手をあっという間に焼き払い、そして……その先の触手も伝うように次々と燃え上がる。辺りはもう、火事場だ。



聖威、今……。

《その姫君の『聖域』は、闇の神力の付加能力!》

って、言ってたよね……?



もしかして、この紅蓮の炎は『聖域』の力で。

羅沙姫は、『聖域』持ちなの……?

《私が気付いたんだ。ヤツが気付かないはずがない》

それを感じて、特級犯罪人・架威はそれを狙った。ということ……?

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