私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
17.前を向け
何故、聖威は紅蓮の炎に向けて【相殺】を放ったのか。
何故、【相殺】で聖域の力と思われる紅蓮の炎は消えたのか。
……はたまた、私のそんな素朴な疑問に構っていられる状況ではなかった。
「聖威、貴様!まさか自らこの天界にまで追ってくるとは……!『聖域』の炎から私を庇い……借りを作ったと思うなよ!」
「そうではありません、兄上!『聖域』の力を持つ可能性の者に手当たり次第に手を掛けるなど、ただの殺戮に過ぎません!……これ以上、罪を重ねるのはおやめください!」
対峙する二人。
目の前に突然現れた妹に、顔を歪めて憎悪を向ける特級犯罪人と。
必死に訴えて諌める聖威。
しかし、特級犯罪人・架威が聖威の兄、とは……まさかの展開だ。
「あっ……!」
そこで私の視界に入ったのは、離れたところに転がっていた羅沙姫だ。
グッタリとしたまま、仰向けに倒れている。
……このままではいけない。羅沙姫の容態が心配だ。
あの危険な炎も消えて、危険な状況も取り敢えずは去ったと判断して、木の陰からこっそりと移動する。
対峙する聖威と特級犯罪人・架威を横目に、私は羅沙姫のもとへと赴いた。