私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

ハッと我に返って、現在に引き戻される。

今はそんな切ない昔話を思い出している場合じゃないのだ。

神術士であろうがなかろうが、今、この力を使わないと、救える命も救えない。

ただ、一点に集中を注げ。



(お願い……!)



自らを奮い起たせて、自分の腹の底からも搾り取るように神力を放出させ、一身に注いだ。



後ろを振り返るな。もう……言いなりになんてならない!

誰も傷付けたくなくて言いなりになった結果、今のこの現状があるのだ。



……前を向け。

凄惨な過去を背負いながらも、一族の仇を取ると前を向く……聖威のように。



(……あっ)



術陣から虫の息の姫へと、ただ一心不乱に神力を注ぎ込んでいた、その時。

抱えている姫様の体が、ふと熱を持った。

そして、身体中の鼓動が手を伝って感じられる。空になっていた姫様の神力が体内に徐々に満たされていくのがわかった。

回復した……!



命をひとつ助け、やり遂げられたことに安堵する。

体の力がふと抜けそうになるが……しかし、気を抜いていられない状況は、まだ続いているのだ。


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