私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
私が羅沙姫の回復に奮闘している最中も、向こうの二人の言い争いは聞こえていた。
そっちにまで気をやることは出来ず、何か言い争っているのはわかっても、会話の内容は聞き取れていなかった。
「……私は、『自分の手に入るものだった』ものを、取り返そうとしているのだよ。それの、何が悪い……?」
「兄上っ……」
「聖域の番人『宿曜』を受け継ぐに相応しいのは、この星宿院家の長子である、私だ……!」
「ちがっ……」
言いかけた聖威の言葉を遮ったのは、特級犯罪人・架威の攻撃だった。
無詠唱でいつの間にか術陣が敷かれていて、黒と紫の靄が刃のように地を削りながら、聖威の方へと襲いかかる。
反応早く、既に攻撃に気付いていた聖威はこれまた無詠唱で出現させた結界陣で真っ正面から受け止めた。
しかし、攻撃の勢いが凄まじかったのか、靄の刃に結界陣ごと押されていく。
「……くっ!」
受け止め続けるのは無理だと判断したのか、聖威は両腕を大きく振って、結界陣で攻撃を振り払い、攻撃の靄の進行方向を大きく変えて逃れていた。
「兄上、それは違います!……『聖域』は奪えるものではない!」
息をきらしながら、聖威は叫び掛ける。
だが、そんな必死の様子を、架威は鼻で笑った。