私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
18.ぶっ飛んじゃってもイージー
「月輪界唯一の神術士の一族、星宿院家を没落させ……実の親を手にかけたその罪は重い。兄上がこれ以上罪を重ねるのは、看過出来ない。……兄上、投降してください!」
「私は何の罪も重ねていない。むしろ……おまえの宿曜に対する愚弄が罪だ!」
……架威は、何を怒ることがあるのか。私にはわからない。
しかし、彼は『宿曜』を崇めて止まない。
それを『たかが』と括る聖威に憤ったのか。
(『宿曜』……)
宿曜(すくよう)とは。
聖域の番人、星見の最高峰といわれている。
星見といっても、その能力の程度は格差がある。
どれだけ星を正確に詳しく詠むことが出来るのか、聖域とどれだけ連動出来るのか。
その頂点に立つのが、『宿曜』の称号を継ぐ者なのだという。
最も『聖域』に近いところにいる、という立場の者なのだ。
『宿曜』は、いつの時代にも現れて天界を導いてくれるのかというと、そうではない。
その出現条件や血統の詳細は明かされていないが、この『宿曜』が天界の星見として地に留まった時代は、海や大地は豊穣の恵みを与えられ、安寧な時代が訪れたという。
伝説となっている話だ。