私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
すると、バサバサと音を立てていた黒い羽根たちは、そのはためきを止めて、風に当たったかのように、辺りにパッと散らばった。
そこから現れたのは……黒光りした刃。
鞘には収まっておらず、刀身そのものが漆黒という珍しい、細身の剣だった。
帯剣していないと思ってたら、こんなところに得物を隠していたとは。
それを握って振り翳しながら、対峙する二人の間に飛び込んでいく翼。
「神剣咒【雷同魔破剣】!」
刀身が空から降る電光を纏う。先程見た、天子様の神術剣と全く同じ光景だ。
だが、威力も迫力も本家本元の方が強く、規模が大きい。
聖威を背中に庇うように前に出て、翼は電光の剣を架威に向かって振り下ろす。
電光が刀身を離れて、架威に襲い掛かった。
激しく衝突した衝撃音が響き、離れているこの場所にまで余波の突風が襲い掛かってくる。
「ぶっ飛んじゃってもイージー。……でしょ?架威様、お久しぶりです」
言葉の通り、架威は今の攻撃で本当にぶっ飛んじゃってしまい、距離が離れた場所で膝をついている。
「翼、おまえもこの世界に来ていたのか。相変わらず聖威の腰巾着なんだな?」
「ええ。従者として聖威に仕えるよう、今は亡き御館様に命じられておりやすから」