私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

そう言いながらペコリと頭を下げて、翼はおどけてニヤリと揶揄い混じりに笑う。



「……翼!」

背中の方にいる聖威に呼ばれて、翼はその笑みを消し、バッと振り返る。

そして、小声で聖威に何か耳打ちしているようだ。

しばらく聞いたのち、聖威は頷いている。

何だろう……と、思っていたが、その時。人の足音や騒めいた声が聞こえて、体をビクッと震わせてしまった。

「……何だ?今のは!」

「神力か?!……魔族か!」

翼の今の大きな一撃で、何か騒ぎがあったと完全にバレてしまったようだ。

姫を抱いたまま、慌てて木の陰に身を隠してしまう。

ほ、本当に人が来ちゃった!



「……舞空!」



気が付くと、聖威がいつの間にか私の傍に戻って来ていた。

「あっちは翼が足止めしてくれてる。私達の本日の目的は達成したから、やることやってからずらかる!」

目的達成……そうだ。私達がここに来た目的とは、韋駄天様がニセモノなのかどうかを判断すること。

この状況だと、異世界風に言えば『おもいっきりクロ』だ。

目的は達成していた。



「やることやる?って?」

そう問うも、答えが返ってくる前に聖威は私の腕の中の姫様の額に手を当てていた。

その手には光が灯る。

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