私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「何を?」
「……まず、この姫君の記憶操作。兄上と遭遇したことは綺麗サッパリ忘れてもらう」
「え!そんなこと出来るの?」
「私は星宿院家の直系だぞ。……と言っても舞空にはわからないか」
確かに。よくわからないけど、神術士の一族の直系、つまりは自分が優秀な神術士と言いたいのだろう……という微妙な意味合いは何となくわかる。
そんなことを考えているうちに、姫様に向けられた光は次第に消えていく。
術が終わったのだ。
そして、私達はここから逃げなければいけない身である。
連れて行くわけにもいかないから、腕の中の羅沙姫を丁寧に下ろして、木の陰に寝かせておく。
ごめんね……と、思いながら。
羅沙姫はこっちの騒動も知らず、気持ち良さそうにすやすやと寝ている。
顔色も良くなってきた。
「よし行くぞ」
「……翼は?!銀太さんは?!」
「翼とは後で落ち合って転移陣で逃げる。銀太は、私達が逃げた後の様子を観察してもらうため、後ほど一人で戻ってくる予定だ。今もどこかそこらに隠れてるだろう」
「わ、わかった」
そうして、私達はその場から駆け出した。