私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
19.追う男、逃げる女
……何故、こんな神々しい高き身分の御方が、護衛も付けずに単独でこっちに向かってくるのか。
「聖威!何で、何で何も言わずに出て行ったたんだ……!」
突然現れた天王様の姿を前に、聖威はしばらく放心していた。
だが、直ぐに我に返ってハッとした表情になる。
「……舞空、行くぞ!」
「え?え?だ、だって」
「いいから!……早く!」
そう言って、腕を掴まれてグッと引っ張られる。
追いかけてくる天王様を背を向け、私の腕を引っ張ったまま走り出した。
「ち、ち、ちょっと!」
私もそれに引っ張られて、一緒に走り出すカタチとなる。
呼び止められているにも関わらず、応じずに逃げ出してしまったのだ。
というか何故、天王様が聖威を追いかけてくるの?!
この様子だと、この二人は面識あるようだ。……何も言わずに出て行った?
ワケもわからず、チラッと後ろを振り返ると、その神々しい身分の御方は、まだ追ってくるではないか。
「聖威、何で逃げるんだ!待って、話を……!」
だが、再度呼び止められても、聖威の足は停まることはない。
その横顔は、痛みを堪えていそうな。