私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
翼の容赦ないけど軽い尋問に、しっかり答えることなく逆に裂けんばかりの怒声をあげながら、自分で出した転移陣を指差して「いいから乗れ!」と無理矢理指示する。
翼も今この状況で詰問するのも無理だと思ったのか、「へーへーわかりましたよー」と苦笑いしながら言う通りに転移陣の上に足を下ろした。
私も聖威に腕を引っ張られて、転移陣に乗る。
「……聖威っ!聖威、待って!話を……!」
だが、天王様はまだ追ってくる。
翼の言う通り、ホント執念が滲み出ているかのように。いつも穏やかな空気を出している御方なのに、こんなに必死になってるなんて、普段との格差に驚かされるばかり。
聖威は、顔を歪めて「……ちっ」と舌打ちしていた。
……その表情は、怒りなのか、痛みなのか。
「というか、あの兄ちゃん、王太子ポジの人じゃね?!おまえ、とんでもない男に手を出したな?」
「るっせぇぞ!……黙ってろぉぉっ!」
聖威の続く怒声と共に、転移陣が発光し、発動する。
立ち昇る閃光の隙間から、すでに目の前にまで追い付いてきていた天王様の手を伸ばす姿と、苦しそうな、縋るような形相が見えた。