私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
体がグルンと回転したような気がした。目を瞑ったままのため、暗闇が回ったような感覚で、思わず傍にある腕か何かをグッと掴む。
体がフワッと浮かんだ感覚と共に、何故かバサバサッと鳥が羽根をはためかす音が耳に入る。頬に風が掠めた。
「お嬢さん、ちょっくら飛ぶからそのまま捕まってな!」
「えっ?!と、と」
飛ぶ?!
今、一体どのような状況なのか?確認するべく、恐る恐ると目を開ける。
だが、開かれた視界の向こうは……。
(……ええっ?!)
言葉の通り、本当に飛んでいた。
腕に抱かれたままフワフワと宙に浮かび、先程まで身を置いていた幌馬車が遥かに下にいて、小さく見えていた。
見下ろす幌馬車は、何やらグラグラと揺れている。中で何が起こっているのか。
じっとその様子を見守っていると、そこで、ふと私の視界を横切るものがあった。
(あっ……)
空気中にふわっと漂う、黒い羽根。
宙に浮いている私の周りには、黒く艶やかに光った羽根のカケラが、風に乗せられてあちこちに舞っていた。