私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「あー。それな」
チョコを入れた口をモグモグさせてから、聖威は話し出す。
「竜樹は……あの姫さんが『闇』の神力持ちであり、付加能力として『聖域』の炎禁呪を備えていることを、知らない。……恐らく、この話は公にされていないことなんだろう」
「?」
私は首を傾げた。
確かに、羅沙姫が神力持ち、しかも『闇』の神力を携えていることを知った時は驚きだった。
この世界での羅沙姫の認識とは……夜叉王様の娘なのに神力持ちではない。生みの母親は明かされていないことから、その正体は恐らく平民の罪人であろう。だから『不義の子』。
しかし、この一件で、そんな噂が全く持って本当に噂だけだったということが証明された。
「もし、その事実を周知しているのだとしたら、扱いはもっと違うはずだ。『不義の子』と後ろ指を差される存在にはなっていない。ましてや、竜樹は過保護に輪をかけているはず」
「確かに……」
もし、姫様が『聖域』の力を携えていることが公にされていたのなら、こんな不名誉な噂なんて流れていないだろう。