私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「……まあ、姫さんの『聖域』の力は『闇』神力の付加能力であって、『宿曜』に直結する力じゃないことが兄上もわかっただろうし、なんせあの【紅蓮の炎】はヤバい。迂闊に手を出せば殺られるから、兄上も姫さんを狙うことはもうないだろう」
「……」
架威がもう姫様を狙わないのは、大いに良かったことなのだが。
『聖域持ち』の母親……と、聞いて、私は脳内の記憶から、この世界の歴史上の人物の情報を掘り起こす。
この天界の歴史上で、『聖域持ち』の人物は数えるほどしかいない。ましてや女性など。
い、いや、待って……。
「その正体不明の母親、とんでもない人かもしれない……」
「わ、ホント。このクソな世界の歴史もよくわかんないけど」
「クソな世界とかいうな!」
……この推測は、また別のところの話となるのだった。
そんなやりとりに、聖威は「あはは」と笑いながら、チョコレートをもうひとつ手に取る。
「おっ。これ、中にフリーズドライの苺入ってるヤツ」
「え?苺?チョコレートの中に?」
「これもうんまいぞー」
ニコニコと顔を緩ませながら、そのチョコレートを口に入れた。