私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
23.それはまるで苺のように
《聖威!何で、何で何も言わずに出て行ったたんだ……!》
《聖威、何で逃げるんだ!待って、話を……!》
……こんな言葉をかけられながら、必死の形相で追いかけられる場面を目の当たりにしたら、何があったのかそりゃ聞きたくなる。
しかも、相手は今をときめく天子、天王様だ。
「てんおう?……あ、あいつのことか」
そう言って、聖威は「はあぁぁ……」と深くため息をついた。
眉間に皺を寄せて難しい顔をしているが、急に力弱くなってしまったことに驚いた。
あの天王様を、あいつ呼ばわりしたことにも驚くが。
しかし、この反応。ひょっとして、ひょっとすると。
「前に翼が言ってた『クソな世界の男に絆された』って、ひょっとして……天王様とのことなの?」
ズバリと率直に聞いてしまった。ここ数日で構築した、私と聖威の信頼関係に甘えて。
だが、それはズバリと的中したようで。
「……」
聖威は、無言でいるが……その気まずそうな表情が物語っている。『はい、そうです』と。
「やっぱり、それは本当なの?!」
「か、勘違いすんなよ!おまえ!」