私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。



「……『狼毅』って名前を聞いたら、大体が天子である天王様ってわかるはずなんだけど」

「あほ。異世界の住民である私が、この世界の帝の子の名前なんか知るか」

「……」

それもそうだ。





そして、月の光に照らされながら、彼の持ってきた苺のような甘酸っぱい二人の世界になっていく中で、逢瀬を重ねる。

……しかし、そんな日々は続かず。



聖威、とある日に侍女長に呼び出される。

お怒りで顔を歪めた侍女長のもとへ、馳せ参じて早々、警告されたこととは。

『貴女、未来の天帝様となる天王様を誘惑して何を企んでいるおつもりですか?』

……は?

心当たりもなくポカンとしていたが、話を聞いていくうちに、それは身に覚えのあることだと理解する。

泉の辺りの四阿で男性と密会していたこと、接吻の場面も侍女長にバッチリと見られていたのだ。

……しかも、その男性とは。

天の威を代る若き太陽、次期天帝。天竜八部衆が一人、天王様であることを侍女長から告げられる。





「せ、接吻?!聖威、そこまで!」

「う、うるさいぞ!」

いやいや、驚くよ。あの天王様と密会の上、接吻、唇を……!
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