私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

だが、例え異世界の住民とはいえ、この世界の統治者の息子であるとハッキリ言われちゃ、さすがの聖威も理解せざるを得ない。

相手は、尊き身分の御方。次代の統治者となる御方だ。そこら辺の貴族の嫡子ではない。

正式な妃でもない、どこの馬の骨かわからない女と関係を持って婚外子などでも作ったら、近い将来、帝位継承を巡る戦争の火種とも成りかねないのだ。

それに今は、天王様の将来正妃となられるであろう姫との婚約が成立するか否かの大切な時期でもある。

天王様には二度と近づくな。と、警告された。



一方の聖威は、まさかあの笑顔の仮面を装備した変なヤツが、そんな尊き身分の御方とは思わず、事実に混惑する。

そんなの、知るかよ!

しかも……婚約間近の令嬢がいるとは。

婚約者、いたんだ……。

芽生え始めた恋心が、無惨に踏みつけられたような瞬間だった。



その直後、侍女長に出て行けと言われる……前に、聖威は荷物を纏めて、黙って善見城を去る。

任務で潜入していたにも関わらず。もう、ここにはいられないと、ただそれだけに囚われて必死だったという。



早足で歩く城内の回廊からは、あの泉の辺りの四阿が見える。

しかし、そこにいたのは……あの蜂蜜色の金髪の彼と、艶のある白金の長い髪の女性。

自分ではない、別の女性だった。

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