私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「月輪界にも花街はあるの?」
「まぁ……歓楽街とか言うけどなぁ。その中でも春を売るとこは風俗街とかソープ街とかいう」
「へぇ。娼館のことね」
話しながらも、互いの視線は遠い遠い場所にある花街の灯りだった。
夜の闇に浮かぶ花畑のような灯りが、あまりにも綺麗で趣きがある。
「……ねぇ、聖威?」
「ん?」
「聖威は、昔から神術士の修行をしてたの?」
「何だ急に」
私の唐突な質問に、少しビックリしたのだろうか。
でも、聖威は答えてくれる。
「まあな。一応、神術士の一族だし。一族代々神術士。それに、こことは違って月輪界で神力持ちってそうそういないし。そりゃ必然と幼き頃から修行させられるわな」
「そうなんだ」
「毎日毎日、翼と一緒にあれこれ訓練してたわ……」
「翼も?だって翼は魔族でしょ?神術使えるの?」
「いや、それは……翼は魔力があるから、単独では神術は使えないけど。ここ、いろいろ難しい話で……」
魔族の翼にとっては、神術は命を脅かすぐらい危険なもののはずだけど。
……でも、先の剣術大会で、翼は確かに神術剣を扱っていたような気がする。